思い出の患者さん …教会の神父さん

 

教会のご高齢の神父さんが入院してこられたことがありました。

牧師さんと違って結婚できない立場なので、家族代わりの同じ教会の職員さんが身元保証人になってくれました。

保険証を見ると後期高齢者医療保険証と一緒に原爆手帳が。

恐らく広島か長崎にいて被爆されたのでしょう。原爆が人生にどんな影を落としたのだろうか、聖職者として原爆にどんな思いを抱いていたのか、この患者さんの来し方に想いを馳せました。

 

※岡山の病院では広島に近いこともあり、原爆手帳の提示はそれほど珍しくありません。

 

とても人望があった方のようで、入院中は見舞客が絶えませんでした。

外国のお客さんも来たのだと、看護師さんが驚いていたのを覚えています。

 

実際にお会いしたことはなく、カルテ上のみのお付き合いでしたが、病状も穏やかで苦しむことなく、ほどなく老衰で亡くなられました。

大変だったのがお見送り(亡くなった患者さんの出棺)。宗教上の理由からお葬式ではなくお別れ会をされるとのことで、西洋式の棺桶が迎えにやって来ました。

4人がかりで棺桶を持ち上げたら葬儀屋さんが手を挟んで大変だったのよーという師長さんの言葉が印象に残っています。

(通常のお見送りだと、患者さんを白い布で包んでストレッチャーで運び、病院裏口に停めてある霊柩車に乗せるのだけど、神父さんは棺桶ごとストレッチャーに乗せたので、ちょっと大変だったらしいのです。)