医事課からみたあの作品―『陽のあたる家』のフォーマルな支援―

 

 

夫婦と子供2人世帯の「沢田家」が、夫の急病と失業により経済苦に見舞われ生活保護を受給するまでを描く、さいきまこ『マンガでわかる生活保護 陽のあたる家~生活保護に支えられて~』(秋田書店)。

 

さいきまこ『マンガでわかる生活保護 陽のあたる家~生活保護に支えられて~』(秋田書店)より引用

 

何より気になるのが、今回の生活保護受給がパートの同僚の助言というインフォーマル(非公的)な支援により開始されたことです。

 

マンガの沢田さんは窓口で医療費を全額払い、高額療養費の給付待ちという状態でしたが(何度も書くようによく全額支払えたものだと思います)、

このように家計が苦しい患者さんは病院では「分割にさせてもらえませんか」「何か医療費が安くなる制度はありませんか」と相談が来ることがほとんどです。(もしくは支払いが遅れたり、滞納したりと、何かしらの「異変」が起こります。

そこで医事課が聞き取りをし、経済的困難が確認されればケースワーカーに引き継ぎます。フォーマルな支援であるケースワーカーの存在も、社会資源のひとつです。

 

(実際に入院が契機で生活保護受給に至るというのはよくある話です。患者さんが経済苦を理由に受診を我慢した結果、病状が悪くなるところまで悪くなって入院することも多いのです。)

 

また、退院後、経済苦を理由に夫の受診が途絶えていますが、「週に1度通院を」「完治の見込みはない」と言われるほどの患者が来院しない場合、病院は当然連絡を入れるのではないか、そしてそこで医療費を理由に受診できないことがキャッチされるのではないかと思います。

 

病院では主に未収金の発生と受診の中断から患者さんの抱える経済的困難に介入することが多く、このマンガのように病院関係者から全くフォローが入らないことはまれです。

逆に、病院関係者はいつでも患者さんをフォローする用意がありますので、医療費の支払いに困ったら遠慮なく医事課にご相談いただきたいのです。

我慢に我慢を重ねて「雪だるま式」に医療費が溜まるより、早期介入を医事課は目指しています。