医事課からみたあの作品―『&』の医療事務と医師の恋愛―

 

結論:あるところにはあるらしい。

 

 

病院そのものを舞台とし、その中の医療従事者が主役のマンガは多数存在しますが、

医療事務が登場するマンガはほぼありません。

(強いて言えば「医事課長」「事務長」が医師に文句を言うようなシーンはどこかのマンガであった気がしますね。)

 

珍しくレセプトが話題に…草水敏・恵三朗『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』アフタヌーンコミックスより引用)

 

 

そんな中、派遣の医療事務が主人公という稀有なマンガがおかざき真里『&』 (FEEL COMICS)です。

 

全巻読んでいないので(読めよ)1~2巻を読んでのポイントは

・主人公は派遣の医療事務

・配属先は外科外来(いわゆる「外来事務」さん)

・外科医と恋愛

・昼は仕事・恋愛、夜は副業で自己実現、みたいなマンガ(あくまでも1~2巻の印象)

 

医療事務の派遣さん、パートさんは非常に多いです。

ちなみに私は正職員として病院に採用されましたが、同一部署内には派遣さんもパートさんも同数います。

なので、このマンガの主人公も正職員ではない医療事務というところに若干のリアリティを感じます。(ストーリー上ダブルワークをする必要があるからでしょうが。)

 

 

医療事務に派遣が多いことは、医療事務育成システムに一因があります。

大手の会社が医療事務資格コースを設けてそこの卒業生をそのまま派遣社員として雇い、多くの病院にばんばん派遣しています。

大病院でも正職員はわずかでほとんど派遣さんやパートさんで切り盛りしていたりします。

もちろん、どこにも所属せず一般の求人募集から医療事務として採用されるパターンもありますが、派遣さんだと派遣元の会社から診療報酬改定情報の提供やセミナーの開催などがあるのが強みでしょうか。

 

 

で、この『&』の主人公は副業としてネイルアートの店を始めるんですが、まあそりゃ外来事務さんなら定時で上がれるから副業もできるわな。

医事課だと、毎月保険請求期間中は残業必須で、日々の医療費の計算で脳みそを酷使するので、副業する気力も体力も…。

なお、医療事務といっても仕事は色々で、受付事務、各科外来の事務、医師の補助業務、病棟の事務、など保険請求することだけが医療事務ではありません。定時で上がれる部署も多数あります。

その中で主人公を「外来事務」という医師との関係がまあまあ近いが近すぎない部署に配属したところが巧いなと思いました。

これで「医師の補助事務」(外来で医師の代わりにパソコン打ったりする医療事務)だったら関係が近すぎてシラケそう…。この絶妙なさじ加減。

 

 

そしてもっとも気になる、このマンガのキモとなる「医療事務と医師の恋愛」。

私は「ナシ」ですね~。ないわー。ホントないわー。

医師は確かにめちゃくちゃ頭がいいんですが、その分変人も多いです。患者さんには優しくても、一緒に働く職員には優しくないタイプもいます。

特に「先生、レセプト早く返して」「この処方薬全部病名付けて」と医師にとって一番面倒な「クッソ細かいこと」を聞いてくる医事課の医療事務なんて、医師も医療事務お互い「勘弁してほしい」というのが本音ではないでしょうか。

 

 

と思っていたら、バラエティ番組で現役看護師さんが「可愛い医療事務が医師と院内恋愛して、問題になった」と語っていて、「あるところにはあるんだ!」とビックリしました。

 

 

まあなんかこう万事がキラキラしていて、「医師と恋愛はナシ派」の枯れた現役医療事務としては見ていられないのであった。(おかざき真里『&』FEEL COMICSより引用)